走るよ 師走

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ホクホク顔でせんべいの袋を受け取った藤木。 いいべ。 知らなかった一面を知れるって嬉しいし、その知った一面がちょっと面白いなんて最高だ。 最高ですか? 最高でーーーーーーーす!!! 最高ですか? 最高でーーーーーーーす!!! そんな感じだべ。 「ちょっと買い過ぎちゃったかな?」 ちょっとじゃないべっ。 「ぶはっ、今更だね。」 行動もツボを刺激してくるけど、言葉で追い打ち。 見た目、普通なのに。 そして、出会った頃は見た目も危険な感じだったべ。 ついつい、藤木の頭髪に目がいってしまう。 きついくせ毛。 アフロにしなくても、このまま伸ばしたら偉人で言うところのベートーベンかアインシュタイン。 日本人で例えるなら、脳科学者のM様だべ。 「何?僕の頭になにかついてる?」 私の視線が藤木の髪の毛に注がれていることを目ざとく見つけたらしいべ。 「髪の毛がついてるよ。」 「もしかして、寝癖ついてる?」 「ぶっ。今更なことを聞いてこなくても。そしてコージーの髪の毛は寝癖か地毛が判別不能じゃん、あははっ。」 えびせんべいを持ってない方の手を髪の毛に持っていって、自分の髪の毛を少々弄りつつ歩いてる姿が可愛い。 「さっきご飯を食べた建物じゃん?」 私が聞いた。 次に向かうのは、お魚屋さんじゃなかったんだべか? 「ふふふっ。ここの下の階がスーパーみたいになってるんだって。階段か何かがあるはず。あっ、あっちだ。」 歩きつつ、話しつつ、目ざとく見つけたらしい階段に向かった。
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