走るよ 師走

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「これも美味しいよ、から揚げにすると。」 次に藤木が手にとったのは、アカシャエビ。 「へー。」 小さな海老がパックの中でチロチロと動いてる。 鮮度抜群だべ。 そして、食べたいとも言ってないのに、想像通りに藤木がパックに手を伸ばす。 やっぱりな。 ダメだ、笑えてきた。 藤木は大人買いの傾向があるんだべ。 「あっ、ニギスも売ってる!これも揚げると美味しいんだよね。白身でほくほくな食感がいいんだよ。」 「ふーん。」 にやつく頬を抑えられない。 「もう、何でそんなに笑ってるのさ!」 プンプンってついでに言ってくれないかな、可愛い。 そして、やっぱりパックに手を伸ばす。 お買い上げだべ。 大量注文、大人買いが藤木の得意技。 喫茶店ではパフェだし。 それでこの普通体型を維持してるって、すごいべ。 「まだ時間がありそうだね。あっちに豆腐とかも売ってるんだ。見てこようよ。」 藤木の私に対する見てこようよってのは、すでに決定事項だし買う気マンマンだべ。 どんだけ購買意欲が高いんだよ。 「何で今日はまたそんなに大量購入を?」 「ん?ボーナス貰ってるけどまだ何も使ってないから自分へのご褒美にエリーと美味しいモノを食べようと思ってね?だから食べたい物をどんどん買っていいよ。」 グッ。 ちょっと感動したべ。 一緒に美味しいモノを食べようと思ってだって。 嬉しいべ。 そうやって思ってくれる気持ちが。 「あっ、それともどこか高級なお店で外食の方が嬉しかった?」 「いやいや、そんなことはないよ。」 「良かった。だって外食したら一緒に飲めないもんね?ふふっ。今日は二人で酔っ払おうね。」 微笑まれて、決めたべ。 藤木をべろんべろんに酔っ払わせてやるべっ。 そして、下着姿にして、イヒヒヒヒヒ。
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