走るよ 師走

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にんまりと一人で笑っている横で、値段の高そうないかにも高級な風情を漂わせているお豆腐様をカゴに入れる藤木。 さすがボーナスパワーだべ。 いや、ボーナスパワーの前に藤木は高給取りに違いないべ。 「あぁ、どうしようね、まだ時間じゃないし。」 30分はけっこう長いべ。 「うん、でももうちょっとでできるんじゃない?」 少し向こう側で大きな声で名前を呼ぶお兄さん。 「だよね。30分待ちっていいながら40分待たせるよりも20分待たせた方が心証がいいよね。」 その場で少し話していたら、お兄さんが藤木の名前を叫んでる。 「あっ、きたね。ここで待ってて。」 人が多いからね。 待ってます。 そして、藤木がお兄さんから無事にお魚ゲットだぜーとやってる様子を見ております。 嬉しそうな顔だ。 藤木は魚が好きなんだな。 特に好きなのは鮭。 いつも食べてるもんな。 魚が好きなのはいいことだけど、塩分摂りすぎには注意だべ。 「アラもくれたよ。何にしようかなぁ。アラ炊きもいいけど、塩焼きもいいよね。」 ほくほく顔だ。 まさか、全部、今日、作って食べる気じゃないべ? だって、さっき唐揚げにする魚とエビを買っていたべ? そして、お刺身だべ。 きっと、アラ炊きだか塩焼きは明日だな。 「よし、行こうか。あぁ、レジがけっこうな人だね。僕がレジしてる間にエリーはあっちのパン屋さん見てきてもいいよ?」 ウホホホホホホ。 マジか!!! さっきから、食糧を買いまくる藤木を見つつ、私も何か藤木にご馳走したい気がムラムラしていたべ。 藤木ほど高給取りではないけど、ボーナスももらったし!!! 「うん、じゃぁ、見てくる。ちなみにコージーの好きなパンって何系?」 「何系ってなに?」 「甘い系とかお惣菜系とか0系とか500系とか。」 「ぶはっ、じゃあ0系で。」 笑う藤木に私も笑ったべ。 「ラジャ―!!!コージーのブラジャー!!!」 「あっ、こらっ!!!」 藤木がこらって言ったときには、すでに藤木に背を向けて歩き出した後。 言い逃げだべっ。
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