ラストスパート準備 走るよ 師走

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せっかく藤木よりも先に走りだしたのに、藤木の掛け声に笑わかされて思うようなスピードも出ずに、出たのは笑い声ばかりだ。 「ピピピピプペポ!」 さらに追い打ちをかけるように可愛い声で隣から変なことを言ってくる。 負けてはいられないと思うのに、これは無理だべっ。 笑いながらスーパーに到着してしまった。 「宴会部長にカゴを持たせるわけには行きません!」 藤木の腕にかかるカゴを奪ってカートの上に。 クスクス笑う藤木を見つつ、私も笑った。 だけど、私と藤木の方が笑われる対象な気がしてきたべ。 視線を感じなくもない。 あずきジャージに青ジャージだからな。 それなのに、藤木めっ。 「しまったなー。ギターも持ってくれば良かった。」 そう言った後で鼻歌混じりにお笑い芸人のネタで使われるフレーズを歌ってる。 「ギター、弾けるの?」 「弾けないよ。マンドリンなら弾けるよ。」 「本当?」 「ふはっ、うっそぴょーん。」 ヤラレタべ。 クスクス笑い続けてとうとう我慢が出来ないのか声をあげて笑い出した。 いつもは、私が笑いをとりにいくところなのに、今日は藤木に笑わかされてばかりだべ。
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