ラストスパート準備 走るよ 師走

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「えっさ」 「ほいさ」 「エッサ」 「ホイサ」 「あーか」 「ジャージ」 「あーお」 「ジャージ」 行きと同じように二人でゆっくりと掛け声をかけて走る。 二人の手にはスーパーで入手した戦利品の数々。 私が持ってるのはアイスクリームだけだけど、藤木はたくさんの荷物を手に持って走ってるべ。 顔は冷たいんだけど、体はあたたまりつつあって、心が一番温かい。 二人で恥ずかしいジャージに身を包み、知り合いに会うかもしれないというリスクを冒しての買い物。 楽しくないはずがないべ。 スリリング。 「じゃぁ、エリー隊員は冷凍庫にアイスクリームをしまって!」 「アイアイサー!」 コージー宴会部長の仰せのままに冷凍庫に高級アイスクリームをしまおうと引き出しを開けて吹いた。 「ぶはっ、同じアイス、入ってんじゃん!」 振り返って藤木の顔を見たら、笑ってる。 やられたべっ。 「大丈夫大丈夫、アイスは冷凍だから悪くならないし。」 涼しい顔してもっともなことを言ってるけど、心のまみむメモ帳に書いておいたべ。 藤木の好きな食べ物 タマゴ、鮭、サーモン、魚、アイス、エリー。 「じゃ、次は僕が片付けるからエリー隊員は休憩ね。」 「了解でありまーす!」 冷蔵庫の前から退いて上官に道を譲る。 そして、華麗なる手さばきで戦利品の数々を冷蔵庫の中に収納していく様子を観察だべ。 きっちりしてるべっ。 几帳面だ。 下着と同じくらい几帳面な冷蔵庫の中身。 藤木の爪の垢でも煎じて飲んだら、私の脳みその中も少しは整理整頓ができるはずだ。
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