ラストスパート準備 走るよ 師走

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藤木がころあいを見計らって、ガスレンジの魚焼き器の網の上にニギスを置いてるべっ!!! 油を切るために、その使い方、いいべっ!!! 普通にいつも、それ用のバットを使ってるマミーに今度、魚焼き器の網を使ったらベリーベンリーかもしれないって言ってやるべっ!!! 中身のなくなった油の中にニギスを無言でドボン。 ドボン。 ドボン。 チラッとこっちを見てくる藤木を見上げた。 「面白いことばっかり、思い浮かばないってば。」 「ふはっ。エリーなら何か面白いこと言いそうだと思ったけど、そっか、思い浮かばないこともあるんだねっ。」 藤木の笑いの沸点が低いから、藤木はよく笑う。 そんな顔を眺めたいから、楽しいことを思い浮かんだらなって思ったさ。 だけど、そんなことばっかり思い浮かばないっての。 藤木を一生、笑わせてあげられるほどの、底なし沼のような笑いのセンスが欲しいべっ。 「エリーは何部だったの?」 「デブ。」 「ぶはっ。で、本当は?」 体を揺らして笑った藤木に満足感を覚えたべ。 「中学は漫画の影響で卓球部に入部した。」 「あははっ、漫画の影響ってサッカーとかバスケットとかテニスじゃなくて卓球に行くんだっ。」 「それは王道じゃん。高校は弓道部にした。」 「なんで、弓道部?」 「なんか、恰好良いなって思ってさ。ちなみに、大学はオカルト研究会と漫画同好会。」 「ぶはっ。いいよね、オカルト研究会ってさ。大学って感じがする。」 体を揺らす藤木。 うん、藤木だ。 楽しそう。 でも、そこまで面白い話、してないっての。 また、藤木が鍋からニギスを取りだしてる。 美味しそう。
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