3464人が本棚に入れています
本棚に追加
ついつい、揚げたてのニギスを凝視していたら、
「食べる?」
藤木に聞かれて、しかも、藤木も食べる気でいる顔をしてる。
「食べる」
返事をした瞬間にふっと笑って、揚げたてのニギスを菜箸で摘まんでふぅふぅっと藤木の口元で冷ました後、そのまま私の口元に運んでくれる至れり尽くせりぶりを発揮してくれる。
ガブッと齧り付いたニギスの身はほろっとした食感で白身魚って感じだべ。
そして、魚特有の自然なしょっぱさと油があいまった旨さ。
「まいう~、はふっはふっ。」
熱くて、はふはふしていたら、私の食べかけのニギスを藤木が食べてる。
「うん、まいう~。」
私と同じようにはふはふしながら食べる様子に、二人で笑い合った。
次はメヒカリだべ。
メヒカリって魚はニギスよりも小さくて、目が光ってる。
だからメヒカリか?
粉をつけて叩いて、それからお鍋の中にドボン。
「ギョギョッ。」
一応、言ってみたら藤木が楽しそうな顔をした。
「ふふっ。エリーと一緒だったら、僕、何でも楽しいなって思う。」
何でもないふうな感じで言われたけど、その言葉は、私にとってはかなり破壊力抜群で、一瞬、息が止まるかと思った。
「私も、コージーと一緒だったら何でも楽しいし、すぐに欲情できるよ。」
「ぶはっ、僕もエリーの匂いで一発で欲情する。」
フォー!
他人に言われて嬉しいとは思わないワッキーの臭い。
だけど、藤木は特別だべ。
臭いを嗅がれるのは、恥ずかしいし遠慮したいけど、藤木は変態だから嗅いでくるし、それで恍惚の表情を浮かべるんだべ。
そんな藤木の姿を何度も見せられると、自分の臭いも悪くない気がしてくる藤木マジック。
最初のコメントを投稿しよう!