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鍋の中のメヒカリを疎ましく感じるべ。
藤木を今すぐに襲いたいくらいにムラムラッときたっていうのに。
大人しく揚げ物を続行しないといけないなんて、可哀相な私だ。
藤木の菜箸がメヒカリをひっくり返す。
「これも、美味しいんだよ?ふふんっ♪」
嬉しそうに言われれば、自分だけが藤木を押し倒したいと思っていたらしくて、淋しくもあり。
「コージーはもっと美味しいんだよ?ふふんっ♪」
悔し紛れの私の言葉に、ちらっとこっちを向いて、顔をお鍋に戻していく姿。
くぅ~!!!
男にしておくのは、もったいないべっ。
鼻息が荒くなりそうな自分を自制する。
「エリーはもっともっと美味しいよ。」
フォフォフォフォフォフォフォ!!!
ボソッと言ったべ。
聞こえたべっ。
「今すぐに押し倒していい?」
「ぶっ、ダメ。まだ揚げてないじゃん。」
吹きだして、頬を緩ませ、笑う様子をガン見。
「揚げ終わったらいいって意味?」
「えっ……うん。」
フォーーーーーーーーーー!!!
お許しが出たべーーーーーー!!!
辛抱できないべっ!!!
気持ちはカタパルトから飛び立つ勢いだべっ!
が、相手は油ものを揚げてるから、そこは冷静に考慮して冷たい水道水で手を洗ってから、藤木の後ろに抱きつくベ。
「ちょっ、エリー。待って。次のメヒカリ、入れてくれなきゃ。」
……。
負けた。
魚ごときに負けた。
魚類のくせに生意気だべ。
悔しいから、藤木の背中に一度抱きついて、私の生温かい息を背中にふーーーーーーっとかけて藤木がモゾモゾしてるのを見てから、持ち場に戻った。
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