3464人が本棚に入れています
本棚に追加
粉をまぶしても、チロチロと動くアカシャエビ。
鮮度抜群。
そして、生命力を感じる。
「ねぇねぇ、エビって揚げると赤くなるよね?」
お鍋の中のメヒカリを菜箸でつつきながら聞いてくる藤木。
言われて見れば、最初から赤いわけじゃないけど、えびふりゃぁって赤いね。
「そうだね。」
「そのアカシャエビも揚げると色が真っ赤になるんだよ。」
嬉しそうに話してる。
そんなにアカシャエビに興味はないけど、藤木浩二に興味ありありだから、
「へぇ、楽しみだ。」
という返事もするっと出てくる。
好きな人の好きなことを好きになる依存体質の私だべ。
藤木が魚とタマゴが好きなら、魚とタマゴを好きになろう。
タンパク質ばかりだなんて、思わないでおこう。
「あっ、今夜は宴会だしゆで卵も作る?固ゆでと半熟だったらどっちが好き?」
うむ、宴会でゆで卵が出てくるコージー宴会部長の頭の中身に疑問を感じたなんて言わないぞ。
それが、部下だ。
右に倣え、トップダウン、これぞ日本人だべ。
そして、質問の答え。
「どっちでもいいけど、そういう答えがイヤならコージーの食べたい方かな。」
「えー、エリーの食べたい方が僕の食べたいほうなのに。」
ブツブツ言いながらメヒカリを摘まんでバットの中に移動させてるべ。
口ばかりじゃなく、手もきちんと動かす男が藤木だ。
「私が食べたいのは、タマゴよりも魚よりもコージーだってば。」
「だから、腹が減っては戦はできないじゃん、エリー。もう、知らないからね。エリーが逃げても寝技で組み伏せてやりたい放題しちゃうよ?」
爽やかな笑顔で聞かれて笑ったべ。
「いつもじゃんっ!!!」
「あっ、そっか、ふふふっ。」
お鍋の中のメヒカリがなくなったのを確認して、アカシャエビをポイポイと投入だ。
最初のコメントを投稿しよう!