ラストスパート準備 走るよ 師走

21/38
前へ
/539ページ
次へ
曇りガラスの向こう側に藤木のシルエット。 脱いでる様子がなんとなく見えて、期待するべ。 私はいったい、何に期待しているんだっ。 ……やっぱり‥‥だってさ・・・見るべ? いやいや、目を逸らすかもしれないべ。 うん、角度を確認した後に目を逸らす。 きっとそうだべ。 無反応だったら淋しいっていうか、ね? 一応、無反応だけは避けて欲しい気持ちがある。 ガラっと扉が開けられ、 「ねぇ、暗いよね?電気、点けようよ。」 ウホッ。 脱衣所の明かりと藤木の体の角度から、確認できた! 二十代だべっ。 そして、目を逸らして、体ごと湯船の中で体育座り。 「あっ、ほら、これ、これならいいでしょ。」 浴槽の縁に置かれた入浴剤の袋。 ○○温泉の入浴剤と書かれたモノだべ。 この気遣い。 手を伸ばして入浴剤を確認していたら電気が点けられ、薄暗い光に慣れていた私の目には眩しく思えて一瞬目を閉じた。 その隙に私の手から取られた入浴剤。 「一人で入るときに使おうって思わないんだよねー、忘れちゃうし。あぁ、でも、ないほうがいいかなぁ。」 目を開けて、藤木を見上げるけど、明らかにこっちを見てる。 しかも、顔じゃないとこ見てるべ。 「えっち!」 バシャっとお湯をかけたら 「わわわわっ。」 と、言いながら体の向きを変えたべ。 「男はみんなえっちだよ。好きな女の子には特にね。ふふっ。」 反省の色、なし。 しかも、爽やかにえっち宣言。 好きな女の子には特にねの一言ですべてが帳消しにできそうだ。 フォフォフォフォフォフォ!!! フォーリンラブ!!!
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3464人が本棚に入れています
本棚に追加