ラストスパート準備 走るよ 師走

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私の髪の毛を乾かし終わった藤木がドライヤーを止めた。 「攻守交代。」 立ち上がり、藤木に宣言。 ふふふっ。 攻守交代だべ。 髪の毛を乾かし終わったら、その流れであずき色ジャージの下に手を忍ばせて、フォー―――!!! 藤木がコタツに座って、私が藤木の髪の毛を乾かす。 癖の強いくるくる具合が面白いべ。 自分がこんな髪質になりたいかと聞かれたら遠慮だけど、藤木の髪の毛ならオッケーだ。 うん、ベートーベンかアインシュタインか脳科学者だなっ。 案外、一番最初に会ったときのアフロは藤木の魅力を最大限に引き出していたのかもしれないべ。 やるな、ビューティーサロンA&J ぼっさぼっさの頭に仕上げてみたべ。 いい感じだ。 私の髪の毛はこんな風になにもしてなくてボリューミーにはならない。 お得感に溢れてるべ。 ちょっとぐらいの薄毛さんになってもボリューミーに仕上げたら、隠れそうだ。 残念だけど、バーコードはできないだろうな。 そんな風に薄くなってバーコード風の髪型にしようものなら、床に落ちてる陰毛みたいな髪型になってしまうべ。 ダメだ。 ドライヤーを止めて、そのまま流れで抱きつく。 「ふふっ、どうしたの?」 甘いべ。 藤木の声も雰囲気も甘いべ。 そして、私を見くびってるにちがいないべ。 甘いぞ、甘いんだよ!!! 藤木の両手を押さえつけつつ、胸への攻撃開始! グハハハハハハハ!!! 「わっ、もう、やめてよ。」 押さえつけていたはずなのに、スルリと身をかわされ、しかも私の手を持って………… 何が起きたのか、早業で私の視界が反転したべ。 ウホッ。 「怒った顔も可愛いね、コージー。」 「もうっ。そんなことばっかり言って!」 視界の一番遠くに天上、その手前に電気。そしてコージーだ。 「素晴らしい早業にオドロイタ―。」 「寝技、かけてあげようか?」 ふっと笑うコージー。 「オプションつけてくれるならいいよ。」 「オプションって何?」 「一晩中♪」 「……ご飯にしないと、せっかく美味しそうなお刺身があるんだから。」 据え膳喰わぬは男の恥ではないのか? まだ、据えてなかったか。 せっかく早業で押し倒されたのに、押し倒され損だべ。 よいしょと立ち上がって、台所へ向かうコージー宴会部長に続いたべ。
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