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いつものように、コタツで直角の位置に陣取ってグラスの中にチューハイを注いだ。
藤木の持ってる缶には、夏限定の文字。
「ぶはっ。今、冬なのに夏限定って書いてある。」
「ふふふっ、いいでしょ。冷蔵庫の中に、去年の冬限定だったりんごのチューハイもあるよ?あと、秋限定の何だっけな。」
「ぶはっ。限定商品に弱いの?」
ついつい、藤木の面白いところを発見して聞いてみたべ。
「ふふっ。そうだよ。普段は飲まないし、買わないんだけど限定って書いてあるとついつい飲もうかなって思って買うんだけど結局飲まなくてさ。」
また、藤木がふんわりと笑った。
あの顔。
好きだべ。
すべてのことを穏やかに包むような大きな癒しだ。
もちろん、私だけの癒しであって欲しい。
そして、できることなら、藤木の胸は私が包み込みたいべ。
ハッフン!
「「かんぱーい!」」
グラスをコチンとぶつけてグイッと飲んだ。
せんべいとか、ラーメンとか、それなりに食べていたとはいえ、腹ペコだったから、アルコールが沁みわたる。
「くぅーっ。ぷはっ。」
「エリー、いい飲みっぷりだね。食べながら飲まないと、酔っ払うよ?」
「食べるって。」
サラダに手を伸ばして、お皿に取り分け、くだらない話をしつつ飲んで食べて。
「お刺身も食べてよ。いっぱいあるし、美味しいよ。」
モグモグと本当に美味しそうにお刺身を食べつつチューハイを飲む藤木の姿はなんだか恰好良く見える。
頭はボサボサであずき色ジャージのくせに。
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