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木曜夕方の金時計前。
待ち合わせの相手は大学時代の友達、いや親友のイッシーこと石田紗那。
いつも通りに定時で仕事を終えて金時計で待つこと10分。
「石ちゃん、こっちこっち。」
軽く手を挙げて合図したらこっちに気が付いたけど、顔が怒ってる。
理由は明白。
「石ちゃんは嫌だっていつも言ってるでしょ。そんなこと言うとベスのこともトミーって言うよ?」
「はい、すみません。同じ横文字チックな名前で呼ばれるなら男性的なトミーよりもベスの方が嬉しいです。テヘッ。」
イッシーは石ちゃんと呼ばれることを嫌がる。
でも、お酒を飲ませると率先して
『まいう~』
と、やりだすとってもひょうきんな子だ。
そして、イッシーが私に言ったトミーのあだ名は、私の苗字が富田だからそのままトミーだけれども、そのあだ名がイッシーにとっての石ちゃんみたいになんとなく嫌だから違うあだ名をつけてくれと頼んでついたのがベス。
名づけ親は、この前、電話で合コンをと言った新藤さん。
大学時代に入ったサークルの先輩で、
「トミーなんて男みたいなあだ名は嫌だー!」
と叫んだ私に
「富田絵里さんかぁ。エリー。いやそのまんま東って感じだしエリーエリーエリザベス。ベスちゃんにしよう。」
両手をポンっと合わせて名案が閃いたと言う顔をして、私にあだ名をつけたのだ。
それ以来、私はこの上なく彫りの浅い日本人顔だけれどもベスと呼ばれている。
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