赤い実 はじけた

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金曜 夕方 金時計前 ちょっと、期待してるべっ。 久しぶりに山岸さんと藤木と山根に会えることを期待しつつ会社でワッキー対策をしてきた。 前回のギリギリで高島屋さんで対策をしたときとは、期待値の高さが違うのかもしれない。 意識、してんべっ。 誰が一番先に来るのかと思っていたら新藤さんと知らない男の人がやってきた。 「お疲れ様でっす。」 新藤さんに挨拶するも、目線は知らない男の人だ。 「ベスちゃん、お疲れ様。・・・あっ、ついてきちゃったんだよね・・・課長。」 「へぇ、君がベスちゃん?みゅーから噂は聞いてるよ。俺は酒井圭吾。みゅーの素敵な婚約者です。」 うん、新藤さんの婚約者なだけあるべ。 軽く、おかしな雰囲気を漂わせてるべっ。 見た目、普通な感じって言うか、ガッシリ筋肉質でちょっとイケメン風味な感じもしなくもないけど。 「あっ、新藤さん、これ、ありがとうございました。すっごく面白かったです。」 借りたままになっていた同人誌と本を入れた袋を渡した。 「本当?なんか怪しい呪文とか載ってたよね。唱えてみたけど、何も効果なしって感じだったよぉっ。」 唱えたんだっ!? そして効果、ないのか!? せっかく覚えたのに。 「あれ?圭吾さん?」 この声は・・・振り向いたら、山岸さんが笑いながら酒井さんに話しかけてるところだった。 と、言うことは酒井さんと山岸さんはお知り合いなんだ。 へぇ。 ウホッ。 笑っちゃいけないとは思いつつ。 やべっ。 じわじわクルっての。 先月よりも頭が大きく成長してるっ。 ダメだっ。 顔が緩んで、吹きだしてまった。 いや、でも、私が吹きだしたら新藤さんも笑ったし。 二人で顔を見合わせて笑った。 「藤木君、そろそろその髪型を変えないと、笑いばっかり提供してんよ~。」 山根の冷静なおっとり口調もおかしいしっ。 何で笑わないんだよっ。 「あー、明日、切ってくる。いや、だって、絶対にウケるだろうなと思ったから今日まで髪の毛、成長させたんだよね。」 確信犯!!! バカバカし過ぎて、愛しいぞっ!!! 飲み会が始まる前から今日も爆笑確定だ。
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