赤い実 はじけた

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我々のやり取りがひと段落したところで、新藤さんの自称素敵な婚約者の酒井さんが 「じゃ、みゅー、帰ろうぜ。もういいだろ?」 えっ、帰っちゃうの? そう思ったのは私だけじゃないはず。 「圭吾さんも一緒に飲みに行きましょうよ。」 山岸さんが爽やかに誘うも 「あー、でも、俺、もう我慢できねーし、さっさと帰っていちゃこらしないと暴発しそうな感じなんだよね、みゅーちゃん?」 さらっと堂々とおかしなことを言って新藤さんを慌てさせてるし、新藤さんの顔が真っ赤でそれもレアだ。 しかも、肩を震わせて酒井さんが笑ってるところを見ると、確信犯だし。 ウホっ、ムラムラくんべっ。 なんだ、この二人。 イッシーと山根なんか目じゃねーべっ。 「バカなこと言ってないで下さいよ。」 「あぁ?バカじゃねーし、本心だっての、本心。一日三回は抱きたいって思ってるのを週末まで我慢してる俺の我慢強さに感謝しろってーの。早く帰らないと、ここで抱くぞ?」 ウホッ。 我慢強くないしっ!!! 性欲の塊だべっ。 しかも公衆の面前でっ。 「つーわけで、俺ら、帰るから。皆、楽しんできてよ。」 ニヤニヤしながらさらっと新藤さんを連れ去って行った。 「お疲れ様でしたー。」 なんか脱力だ。 「新藤さんの彼氏がどんな人なのかちょっと興味あったけど、あんな人なんだね。意外。新藤さんがおかしなこと言って振り回してるんじゃないんだ。彼氏さん、めっちゃ肉食だね。」 イッシー、それ、私も思った。 うんうんと頷いた。 「肉食男子って都市伝説でしかないと思ってたべ。実際にいるんだな。」 私の言葉に今度はイッシーがうんうんと頷いた。 ギャーギャー言い合いながら仲良く歩き出した新藤さんと彼氏さんを見て、それからチラッとイッシーと山根を見て思った。 羨ましいな。
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