赤い実 はじけた

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ここはワインを飲む場所のようだ。 普段、お酒は飲まないし、飲んでも学生の頃の名残りでチューハイ専門だからワインなんてオサレな飲み物はあまり飲んだことがない。 ついつい、オサレな商社マンってのはワインを飲んだりしてるんかと思ってマジマジと前に座る3人を見てしまった。 「そうだ、藤木君、頭、頭。飴ちゃん、救出しないと。」 真顔で言い放ち、藤木の髪の毛を分けだした山岸さんに笑ってしまった。 「前から触ってみたかったんだよね、この髪の毛。凄いよね。」 その感想にまた笑った。 確かに、触ってみたくなるべ。 帰りにちょっと触らしてもらってもいいだろうか。 髪の毛の中から救出された飴ちゃんを藤木は 「ありがとうございます、山岸さんにあげますよ。」 と言っていたけど、 「えっ、微妙。」 と返されていた。 しまった、山岸さんいわく微妙な気分になる頭の中から出てきた飴ちゃんを普通にさっき、貰ってしまった。 しかも二つ。 暗がりで確認したら、デコポン味ときんかん味って書いてあったな。 うん、微妙。 「じゃぁ、ベスにやる。」 ほらと手を出されたからついつい手を伸ばしてもらってしまった。 今度はオレンジ味。 全部柑橘系かよ。 どんだけ好きなんだよ、柑橘系。 やってきたワインで皆で乾杯。 運ばれてきた料理も、この前のカエルの足みたいなのもなく、普通だ。 ・・・いや、危険な食べ物がたくさんあることだけは臭いからして確かだな。 にんにくの臭い。 食べると体臭がきつくなると噂されてるけど、いつも気にせずに食べてる。 平気なはずだ。 だが・・・明日はアンジーとジェームズの店に行くのに。
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