ワキガール

赤い実 はじけた

ワインをひと口飲んでみた。
うん、飲み慣れてはいないがワインだな。
いつ飲んだのが最後だったか・・・あぁ、リンリン先輩の結婚式で飲んだのが最後。
いや、あれはシャンペンだったな。

まずは、カナッペからか。

「カナッペってさ、昔、ベスがカトちゃんぺの親戚かって言ってたなぁ。」

あぁ、くだらないことをイッシーにバラされた。
飲み会の汚れ役がまたまわって来た感じだべ。

「石ちゃん、感想をどうぞ。」

「まいう～。」

くだらないと思いつつ、気分良く『まいう～』をもらってちょっと嬉しい根っからの自分のサービス精神。

山岸さんも藤木も山根も笑ってるし、掴みはオッケーだべ。

生ハムだかロースハムだかもやってきた。

やっぱりイッシーに『まいう～』をやらせてしまうのは、学生時代からの名残りだ。

「紗那ちゃんは、食べながら美味しくないなって思ったことないんかぁ～？」

山根、そんなこと聞くなよ。
カエルの足にも『まいう～』な女だぞ。

「あるよ、ある。親がダイエットスープとかって雑誌で見たっていうレシピにおかしなアレンジしたスープ作ったときはヤバかったよ。」

どんなにおかしなスープなんだよ、それ。
ワクワクしながら先を促したら

「トマトベースのスープで、好きな野菜をたくさん入れて煮ろって書いてあったんだけどさ、後から雑誌を確認したらベーコンとかちゃんとダシが出そうなモンも書いてあるのに、うちの親、ダシになるモンを投入せずに野菜ばっか入れてんのさ。」

へぇ～。
いや、でも野菜からダシが出そうな気がするけどなぁ。
想像してみたけど、イマイチ、不味さがわかんねーべ。

「でな、トマトとチーズは相性がいいからって、粉チーズ振ってあって、それも大丈夫なんだけど、たっぷり煮てあるからドロドロなんよ。ジャガイモも溶けてるしな。でだ、なんか黒いのがいっぱい浮いてんよ。何だと思う？」

何だと思うかと聞かれて考えた。