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二人で向かった先はスタバ。
大きなエレベーターで高島屋さんの中をグングン上昇していってレストラン街の階に到着したら、慣れ親しんだスタバに一直線。
学生時代からイッシーと二人で語らうときはここと決まってる。
何時間いても迷惑な客って顔で見られないから。
お互いに実家暮らしだし、母親が作った夕飯が家にあるところも一緒。
そして、何よりもイッシーと話が合うのが耳垢ウェッティなワキガールだからだ。
ワキガールでない女の子にはなかなか理解してもらえない機微がイッシーにはツーカーで通じる。
ワキガールな失敗談も笑って語り合えるから。
イッシーはキャラメルマキアートなんてちょっと洒落た飲み物を頼む。
私はカフェラテ。
昔から変わらない。
空いてる席を見つけて、二人で座ったら最近の出来事から遠い昔の思い出まで積もる話は盛りだくさんのてんこ盛り。
「ベス、あれ持ってる?」
「あれって、何?ナプキンかい?」
「違うって。前、いつも持ち歩いてたじゃん。バッグの中に。トイレの芳香剤。」
「あぁ、私さ、気が付いたんだけど、芳香剤って臭うよね。今は成長したよ。ほら。」
自分のバッグから取り出したのは消臭剤。
もちろん、ワキガ対策だ。
トイレの強烈な臭いを消してしまう消臭剤を持ち歩いていたら、私のワキガの臭いも消してくれそうな気がするから。
「で、効果、あった?」
「いや、分からないけど、保険だよ、保険。イッシーは、最近何か試してる?」
「ベスがそれ持ち歩いてるのを見てさ、ちょっといいなと思ったんだけど、さすがにそういうのはデカいからね。ほら、これ見て。」
イッシーに見せられたのは小さな四角い物体。
「何それ。」
「車の消臭&芳香剤。これなら小さくていいんじゃないかと思ってね。」
にやっと笑ったイッシーを見て、私も笑った。
仲間意識。
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