赤い実 はじけた

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「あー、ジェームズ普通にアンジーのお尻撫でたり胸触ったりしてるからさ、お客さんいても。ちょっとかドン引きか、どっちかなって。どっちだろ?」 ・・・接客しながら乳を触るってことか? ・・・お客さんいるのに、尻を撫でるってことか? さすが藤木のいきつけの美容院だ。 「面白いなっ。そんなムラムラするほどアンジーは可愛いのか?」 ついつい食いついてしまった。 美男美女の美容師夫婦なのか? 「あ~、可愛いかなぁ・・・昔は可愛かったのかもしれないけど。今はデラックスな感じだよ。」 デラックス!!! ゴージャスな響きだ。 やばい、明日が楽しみになってきた。 「・・・アンジーの店は髪の毛を洗った後に耳の穴をグリグリしてくるか?」 唐突な質問に はっ? と言うような顔をしたけれども 「あぁ、そうだね、耳の穴、グリグリするね。」 その言葉に、ガクンと項垂れた。 「・・・耳垢、付くな。」 イッシーも呟いた。 耳垢ウェッティな私とイッシーはどんなにワキ汗ケアをしても、耳穴グリグリされたらバレてしまう。 いや、バレタっていいけどタオルを汚してしまうのはなんとなく申し訳ない気がするって話だ。 「えっ?嫌なの?耳垢ついたら嫌?」 普通に山岸さんに聞かれて、やっぱりこの機微はイッシーとでねーと共有できねーと思った。 「まぁ、なんて言うか、お尻の穴をグリグリ拭かれて味噌がついてしまったのを他人に見られるのと同じぐらいに嫌な感じっすかね。」 「いやいや、そこは言い過ぎでしょう。」 山岸さんがそう言ってくれるけれども、初めて行く美容院で何が嫌ってそれが嫌なのだ。 バレてしまえば向こうも分かってるから気にならないけどさ。
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