赤い実 はじけた

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またしても、どうでもいいことで笑って、ご飯を美味しく食べて、そこそこアルコールを飲んでお開きになった飲み会。 10月の夜風は気持ちがいい。 ふわふわした気分のまま、駅まで歩くのだ。 「こういう楽しい飲み会があると思うと、また仕事頑張るぞって思うよな~。」 山岸さんもちょっと気分が良さそうだ。 エリート商社マンの山岸さんでも、飲み会があると仕事を頑張ろうと思うのか。 「楽しかったですね。また飲み会しましょうよ。」 大きな頭の藤木が山岸さんと語らってる。 「いいね~。」 イッシーと山根はもしやこれから、くんずほぐれつの初戦に臨むんだろうか・・・。 酔っ払ってるとはいえ、友人のそんな姿を想像してしまった自分の頭を叩いてやりたい気分になった、ごめんよイッシー、山根。 名古屋駅前の交差点まで歩いて来たところで藤木がこっちを見てくる。 「叫ぶか?じゃんけんで負けたら。」 「いや、この前、負けてジョイナーやっちゃったし。」 「そっか、じゃぁ、この交差点の信号が青になった瞬間に僕と競争しよう。負けたら、罰ゲームな。」 「いや、だって、普通に男女だし私の方が不利って。」 話してる最中に青になった。 藤木は後ろを向いてて気が付いてない。 もちろん、ダッシュした。 気が付いて藤木が追いかけてくる。 10月の夜風が頬を掠めて、気持ちいい。 後ろからイッシーの 「ベス、負けんなー!!」 の声が聞こえる。 よし、あと少しだべっ。 両手を挙げてガッツポーズ!!! 「ゴーーーーール!!!」 後ろからイッシーの声が響いた。 はぁっ、はぁっ、はぁっ。 息を吐き出す私の横にやってきた藤木。 藤木もちょっくら息があがってる。 「はえっってっ。次は負けないからなっ。」 そう言いながら、私の髪の毛を掻きまわした藤木の行動に胸の中でパチンとはじけた。 他人から見たら、ただの酔っ払いだろうけど、すげー楽しい気分だ。 酔っ払うのも、走るのも。 とりあえず、名古屋駅前の道路でスクリーム!!! 「チョー気持ちいぃ!!!」 私の後から藤木も叫んだ。 「チョー気持ちいぃ!!!」 バカバカしくて笑った。
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