赤い実 はじけた

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途中でイッシーと山根と別れて赤電車の改札を通り抜けたところで山岸さんとも別れた。 金曜日なのに、 「また明日な。」 そう言って別れるのがなんか楽しい。 アンジーとジェームズの店に行くから。 正直、会社の人とかと休みの日まで会うことはめったにない。 催し物のときだけ。 バーベキューとかお花見とか。 それを思うと、藤木達の会社は大きな会社なのにいろんな人がいるもんだ。 階段を降りてる途中で 「ベス、急げ。」 藤木が私の手を掴んで走りだした。 丁度、乗る電車がホームに到着したっぽい。 二人で走って電車に飛び乗った。 走ったせいでドキドキしてるのか手を掴まれた相手が藤木だったからドキドキしてるのか。 吊り橋効果ってやつだ。 つーことは、藤木もドキドキしてるんだろうか。 息を整えながら大きな頭の藤木を見た。 残念ながら座れそうにない。 ドア付近は微妙に混んでるけれども、吊り革に掴まるってことはしたくないかもなー。 「あっち、行く?」 まさに、吊り革はちょっとなぁと思ったところで聞かれて首を振った。 「腕、あげた瞬間に臭うかも。」 言ったら藤木が笑った。 「大丈夫だって、さっきもお手洗い行ってたし、ベスの匂い、僕は平気だし。ほら、行こう。」 また、すんなりと腕を掴まれた。 ドキドキする。 行動もそうだけど、藤木の言葉も。 生理的に受け付けない。 あの言葉は、いまだに私の心の中にグサリと突き刺さったままだ。 藤木だったら・・・気にしないんだろうか。
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