赤い実 はじけた

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「僕にも秘密ってあるしね。誰にも言えないようなさ。」 力なく笑う藤木の横顔を見ながら、誰にも言えないような秘密について、しばし空想。 「誰にも言えないような秘密なら、誰かに言えるようなコンプレックスの方が楽かもしれないってことかな。」 藤木の秘密を知りたいような知りたくないような気がしながら、独り言のように発した私の言葉に藤木が笑う。 「ベスは凄いよ。普通に、言ってるもんな。自分のコンプレックス。それ、人に言わなければ、バレないかもしれないのにさ。身長とかみたいに目で分かるものじゃないでしょ。」 そう、そうなのだけど。 逆に、身長とかみたいに目で分からないからこそ、後になってから知らせるのはけっこうドキドキするし、バレてるだろうなって思うんだよなぁ。 「会社では、言ってないけど・・・バレてるのかもしれない。みんな大人だから誰も何も言わないけどさ。それに、私も対策はけっこう頑張ってるし。」 「会社では言ってないのに、僕たちにはバラして良かったの?」 うっ、それは、まぁ。 「酔った勢いってやつで・・・。酔ってないと言わないと思う。酔ってなくてカミングアウトできる相手は深イイ仲になる人だけ・・・かな。」 「ふっ。深イイ仲ね。僕も、秘密を打ち明ける相手は深イイ仲になる人だけかな。まぁ、それでフラれて今に至ってるけどね。」 ・・・藤木の秘密が何なのか、それは分からないけれども、藤木の秘密もなかなか根が深そうだな。 深イイ仲になって、秘密を打ち明けてフラれる。 ・・・しんどいよなぁ。
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