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目の前の人がごそっと立って下車して行った。
座ろうって感じで見られたから、素直に座った。
電車の中で座るときも、ちょっとだけ気にしてる。
ワキは極力動かさずに、しめるように。
おならが出ないように、肛門様に力を入れておくのと同じだべ。
臭いが漏れないように、ワキをしめる。
「連絡先、交換しとこうよ。」
さらっと、さらっと言ったべっ!!!
「あっ、はい。」
ワキはしめたまま自分のバッグからごそごそとガラケーを取りだして連絡先を交換。
「ベス、ガラケーなのか。」
ふっと笑い声が聞こえた。
いいけどね、笑いたければ笑えばいいさ。
「落としても、水に濡れても壊れないんで。」
「やったことあるの?」
それを聞くか!?
やったことあるさ。
アルコールついでに教えてみるか。
「きったない話ですよ。聞きますか?」
「聞く。」
頭を揺らして笑う藤木に、私も笑って話すことにした。
別に、内緒にしたいほどひどい話でもないし。
「よくある話だけど、お手洗いで用を足した後、ボトンって落としたことがあって。慌てて素手で拾い上げてパカっと開けたら電源が落ちててもうダメかと思ったんだけど、電池パックを一回抜いてそこもキレイに拭き取ったら普通に復活して、これはすげーべってなって。」
「素手!?」
「まぁ・・・。」
やっぱり、ドン引きか?
「あっ、大きい方じゃないっすよ、ちっせー方です。」
藤木が笑って、また頭が揺れてる。
「凄いね。水没させて壊した話なら聞いたことがあるけど、便器から救出して使えたって話は聞いたことがないよ。」
「・・・きっと、便器から救出したことみんなあるんだけど、素手で拾い上げたとか恥ずかしくて言えないんじゃないっすかね。酔っ払ってないと私もこんな話、披露しないし。」
また、藤木の頭が揺れて笑ってる。
こんな話を普通にできる藤木は、不思議だ。
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