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「マジか!?見事に騙されてたわけだ、ウホッ。今度、座敷のあるところで飲み会やろうって!!!」
ついつい調子に乗ってけっこう酷いことを言った私を見て山根が笑った。
「いいよぉ。さすがベスだなぁ。そういう反応が一番いい。」
「で、本当の身長は何センチだ?」
「150センチ位。」
もじもじと恥ずかしそうに言う山根になんか萌えた。
男に萌えるってなんだ、この新感覚。
「身長差15センチ以上か、理想だべっ!」
言った瞬間に頭をスコンっと叩かれた。
「どんな理想だ、このアンポンタン。」
イッシーが笑ったから、私も笑った。
これは、私とイッシーの暗黙の了解ってやつだ。
コンプレックスを隠すよりも笑いに変える方が明るく生きられる。
だから、親しい人にはオープンにする。
相手が男の人なら、深イイ仲になるときに。
相手が女の人なら、一緒に飲みに行くような仲良しになったときに。
山根の秘密を知った今、私の中で山根は
『親友の彼氏で飲み友達』
から
『親友の彼氏で仲の良い飲み友達』
にランクアップしたようなもんだ。
「何で僕だけ仲間外れなんですか。僕も皆と走りたかったあぁ。」
車から降りてきた藤木の言葉に笑い
「昨日ベスちゃんと藤木君が楽しそうに横断歩道で走ってるのを見て、俺もやりたいって思ったんだからいいだろう?」
と山岸さんが言ったのを聞いてまた笑った。
山岸さん、名古屋駅前の横断歩道で全力疾走して叫びたかったんだろうか。
イッシーと山根が微笑み合って、そっと一瞬手を触り合ったのを見た。
本当に、思った。
羨ましいなって。
空を見上げたら雲一つない青空が広がる。
きっと、叫んだら気持ち良いに違いない。
酔っ払ってないとできないなんて、つまんない大人になったもんだな。
サークル棟の屋上から、真昼間に叫んだこともあったのにな。
『清水のヤリチン野郎!!!!!』
ってな。
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