ビューティーサロン A&J

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ふっとそう思いつつ、お城が見えなくなって、市街地な感じの場所を通り抜けて行く。 藤木の家とビューティーサロン A&J はいったいどこにあるんだろう。 そんな疑問を持ったけれども、車で迎えに来てくれたくらいだしそれなりの距離なんだろうか。 「藤木君、駅から家って遠いの?」 私の疑問を山岸さんが聞いてる。 グッジョブです。 「あっ、もうすぐなんですけど、ちょっと待ってて下さい。そこのたこ焼き屋さんでアンジーに差し入れ買ってきます。」 ・・・美容院に行くのに差し入れって必要なのかな? こんな疑問は私だけ? そう言えば、山根も大判焼きを買ってきてたけど。 もしや、私の中の常識は世間一般では非常識なのか? まさか、常識知らずのままに28年を過ごしてきちまったべか? 藤木が 『岡崎一美味しいたこ焼き かっちゃん堂』 と看板の出てる店の前に路駐して車を降りたところで後部座席の真ん中に座る山根に聞いてみた。 「ねぇ、美容室に行くときって、差し入れするものなの?したことないんだけど。」 山根の手には大判焼き。 山根が笑った。 「しなくてもいいんじゃないか~。これは昨日藤木君に頼まれたからだよ~。アンジーは年中無休でダイエットしてるけど、差し入れ大好きだから何か美味しい物、買って来てよってね。お金も貰っちゃったし。」 おっとり口調でわざわざ名古屋で大判焼きを買ってきた理由を教えてくれた。 藤木、アンジーのことめっちゃ好きじゃんっ。 ダイエッターに食べ物の差し入れ。 笑っちゃいけないけど、腹筋にクル。 小悪魔通り越して悪魔だ。
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