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バタンと運転席のドアが開くまで、一人で笑いを堪えていた。
ダイエッターに差し入れ。
なんかツボったな。
プーンと漂うたこ焼きの匂い。。
鼻腔を刺激するソースと湯気の香りが漂ってくるようなそんな匂い。
さすが、岡崎一美味しいと看板に書いてあるだけあるべ。
大袈裟な看板だしたらジャロに訴えられるべ。
ダイエッターに大判焼きとたこ焼き。
アンジーを見る前から、アンジーが大好きだ。
昨日入手したワッキー情報だけでかなり好感度が高いのに、年中ダイエッターで差し入れ好き。
「持ってて。」
藤木に渡されたたこ焼きからのダイレクトなほんわか匂い攻撃に、笑っていた顔が緩む。
美味しそうな匂いだ。
けっこうな量がある。
「みんなの分も買ったから、待ってる時間に食べよう。予約しないと切れない店だから貸切なんだよね。」
ハンドルを握りながら楽しそうに話す横顔をチラッと見た。
頭が大きいのに、素敵に見える。
このキュンはやっぱり・・・赤い実がはじけたからだ。
大きな道から細い道へ。
住宅街の中に進んで行く車。
車が停まったのは、築何年ですかと聞きたくなるような昔ながらの長屋の前の駐車場。
「ここが僕の住んでるところで、この隣って言うか向こう側がビューティサロンだから。みなさん、降りてくださーい。」
ここが僕の住んでるところでって言ったのは、このふっるい長屋だよね。
へぇ。
実家暮らしかと思っていたのに。
違うのか。
それにしても、古そうだな。
車から降りて、長屋をしげしげと眺めていたら手に持っているたこ焼きの袋を奪われた。
「ありがとね。」
うっ、眩しい。
そよ風に吹かれて消し飛んでくれ、今、私が味わったキュン。
じゃないと、マズイべ。
どんどん好きになったら、マズイような気がする。
だって、この長屋とか、絶対に訳ありに決まってんべ。
実は物凄いダメンズとか・・・。
ベス、藤木のことは、諦めろ。
今、恋愛をするなら結婚に繋がる相手だべ。
ダメンズは危険だ。
先頭を歩く藤木に続いて歩きながら私がこんなことを考えてるなんて、誰も知らないに違いない。
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