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「あそこは、ジェームズの親が大家さんなんだよね。俺、ちょっと親父とケンカにもならないケンカして勘当されてる身なんだ。」
まるで何でもないことのように言う藤木。
「へぇっ。」
こういう話題での正しい反応の仕方が分からないから聞いてますよと相槌を打つ。
これが大人だべっ。
「勘当されるってさ、何をやったんだよ。」
はっきり聞くなぁと山岸さんを見たら、山岸さんに笑われた。
「海外が長いとこうなるよ。物事さっさと白黒させたいし結論から話せよってね。特に仕事中だと。」
あぁ、そっか。
そう言えば山岸さんは外国にいたんだっけ。
「まぁ、なんて言うか親には理解されにくい性癖を俺が持ってたのがバレタってやつです。」
性癖!?
やっぱりだべっ。
あぁ、せっかく藤木に赤い実がはじけたけれども藤木は親に理解されにくい性癖を持ってることが確定だべっ。
「あぁ~、なるほど。」
ついつい、普通に返事をしてしまった私を見て笑う藤木。
「普通さ、性癖とか聞いたら引かないの?」
引くか?
いや、だってセクシュアルマイノリティの方々は私が思ってるよりもたくさんいるんだべ?
首を傾げるべ。
ワッキーも全世界的に見たら主流だけど。日本国内では圧倒的にマイノリティだし嫌がられる存在だべ。
藤木は私のワキの臭いに大丈夫と言ってくれた数少ない殿方であることに変わりはないし、これから先に何かが起きないことが確定したとしても仲良くしたいと思えるべ。
友達として・・・。
じゃない気持ちは封印して。
「全員に受け入れられるとは限らなくても受け入れてくれる人はいるんじゃないかと・・・。いや、そういうことじゃなくて、藤木は藤木だしな。どんな藤木だって一緒に名古屋で走って叫んだ仲じゃないか。ある意味、ただならぬ仲だな。仲良くないとできねーし。」
「おー、そうだ、そうだ、ベスちゃんは良いことを言った。藤木は藤木だ。どんな藤木だとしても今までの俺の知ってる藤木君は良いやつだしこれは変わらないなー。」
山岸さんもそう言った。
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