ビューティーサロン A&J

16/19
前へ
/539ページ
次へ
私と山岸さんに交互に視線を向かわせた後にパッと笑った藤木の爽やかな顔から目が離せなくなった。 いつもの笑った顔と、違うべ? 「で、藤木君の親に受け入れられない性癖って何?」 にこにこしながらグサッと切り込む山岸さんをまた見てしまった。 こっちを向いた山岸さんが笑った。 「知りたいと思ったら聞くって。言いたくないなら言わなければいいだけなんだから。それがグローバルスタンダードってやつだよ。」 本当なのか? 日本しか知らない私には、山岸さんの言葉が本当なのか本当じゃないのか判断できない。 チラっと藤木を見たら、困ったなって顔をしながらも嬉しそうにしてる。 「言いませんよ。深イイ仲になった人と家族にしか言ってませんから。」 「そっか。じゃ、俺と深イイ仲になってみる?」 はっ? 今、私は何を見て何を聞いた? 山岸さんってそっち系? いや、見ため爽やかでそっち系だったら、美しいしアリかナシかならアリかもしれないけど。 「遠慮しておきますって。山岸さんのファンの子に殺されますから。」 「ふーん。冗談に普通に返されたな。大失敗。ちなみに、俺は女の子が好きだよ?」 あぁ、山岸さん、私の思考を読んでるべ? 「ちょっ、山岸さん、僕が男好きみたいに言うのやめてくれませんか?そうじゃないですから。」 うんうん、分かったべ。 藤木はきっと男も女も好きなんだべ。 ある意味、物凄く守備範囲が広い心優しい人なんだべ。 ケラケラ笑う山岸さんの声と焦った声を出した藤木の声を聞きながら心地いいなとソファーにもたれて私もニヤニヤしていたに違いない。
/539ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3464人が本棚に入れています
本棚に追加