宇宙一美味しい焼き肉店    肉の石川

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アンジーとジェームズの乗る車は、地面すれすれのエアロにシャコタンで後部座席はスモークガラス。 どこからどう見ても若者の乗る車に見えた。 きっと、中も改造してあるんだべ。 そう思いながらA&Jの店の前に藤木が車を持ってきてくれるのを待っていたら、想像通りにアンジー達の車からボンボンと凄い音で音楽が流れてきた。 よくわからないけど、低音でボンボン鳴るのがウーハーだべ。 で、流れる音楽はユーロビートって言われてるヤツに違いないべ。 面白い夫婦だなぁ。 目の前に停まった藤木の車に皆で乗り込んだ。 「相変わらず、近所迷惑な車だよね、アレ。」 楽しそうに笑う藤木を見て、本当に近所迷惑だなんて思ってないだろうなと思った。 「夜中なら迷惑だろうけど、夕方ならまぁ、いいんじゃないかな。」 「午後6時以降は鳴らさないんだって。近所迷惑だとお客さんが来なくなるって。面白いよね。」 また笑う藤木。 アフロ頭でなくなったから、なんか変な感じだ。 いや、それを言ったら、全員の頭がフルモデルチェンジだったりマイナーチェンジされてたりしててやっぱり変な感じかもしれないな。 アンジーとジェームズの乗る車について行く藤木の車。 なんか新鮮だ。 こうやって、友達とでかけるって大人になってからほとんどなかったから。 楽しい。 純粋に楽しい時間を過ごしてる自覚がある。 藤木への淡い恋心とか、そんなのがなくても、今、凄く楽しい。 知らない街の夕方の風景を眺めながら、止まっていた時間が動き出したようなそんな気持ちになる。
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