宇宙一美味しい焼き肉店    肉の石川

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アンジーとジェームズの車が入っていったのは藤木の家からさほど遠くない住宅街の中に突如現れた感じのお店。 住宅街の中にある割にはちゃんと駐車場もあるし、第二駐車場あちらなんて看板もあるくらいだ。 どうやら人気の焼き肉店らしい。 ふと、店舗の建物を見て、絶句した。 大きな看板に 『宇宙一美味しい焼き肉店 肉の石川』 文字の前には牛の顔。 文字の最後には豚の顔が描いてある。 それにしても、建物の割りに大きい看板だ。 あれが落ちてきて頭に当たったら即死するかもしれねーべ。 建物も何を狙っているのか分からないデッキがあるけど、デッキに席はないし・・・。 「宇宙一美味しいって書いてあるよっ。きっと美味しいねっ!!!」 後部座席から嬉しそうな声を出したのはイッシーだ。 そして、 「宇宙一ってさ、日本一とか世界一を飛び抜けた世界観がすごいね。っていうか、宇宙標準って意味だったら日本人の俺達の口に合うのかな。」 冷静に酷いことをいう山岸さんの言葉を聞いて、宇宙標準ってどんな焼き肉だろうと思ったのは私だけど。 「世界標準を飛び越えて宇宙標準で勝負するなんて、攻めてる焼き肉店だなぁ~」 のほほんと言い切った山根の言葉に藤木が笑った。 「攻めてるのか。そうか、攻めてる焼き肉店か。アグレッシブなメニューがあることを願うばかりだな、イッシー。」 イッシーに聞いたら、 「どんなメニューもどんと来いだな。おかんの恐怖のダイエットスープを食べたことがあったら何でも『まいう~』だからなっ。」 と勇猛果敢な答え。 頼もしいべ。 攻めてる焼き肉店よりも攻めてるしアグレッシブなイッシーが眩しい。 がっつりにんにくを食べて、明日はワキ休みだ。
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