宇宙一美味しい焼き肉店    肉の石川

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アンジーとジェームズの話は物凄く面白くて、時間が過ぎるのも忘れて飲み食いした。 どんどんと増えていく空き皿。 ときどき、店員さんがお皿を下げに来てくれるけれども、その度にアンジーが肉を注文していく。 二人は出会ったときから、この人と将来何かあると思ったらしい。 そして、実際にその通りになった話。 アンジーもジェームズも美容師になるとかなり小さい頃から決めていた話。 仕事とはとか、接客とはという持論を展開してくれる話に聞き入った。 「ベスちゃんだって働いてるでしょう。」 「まぁ、そうなんですけど。そこまで熱い気持ちがあるってわけじゃなくて・・・なぁ、イッシー。」 イッシーに話をふったのにはわけがある。 「そうなんですよ、お互いに何がしたいのかも分からずに就職活動をして運良く二人とも就職できたから二人で誓ったんですよ。大学を卒業したときに。」 「えー、何、何?」 わくわくした顔で聞いてくるアンジー。 そして男性陣も。 「社会の荒波をうまく乗りこなして、それなりの人生を歩む努力をしようって。それだけなんですけどね。」 夢や希望を抱いての就職と言うわけでもなく、何となく入った大学を何となく卒業した二人が誓ったのは、脱落することなくそれなりの人生を歩む努力をすることだった。 「えぇっ?でも、それっていいじゃない。友情だわっ!!!」 ガシっと私の腕に自分の腕を絡めてくるアンジー。 胸が当たって嬉しいです。 男の気持ちが分かる。 にやけた顔をしたくなる。 「だって、物凄く好きな仕事でも嫌になることあるもの。何となく就職した会社でそれなりにやっていくって凄いことよ!!!お給料は我慢料だって言ってた人もいたわよねっ。」 あぁ、アンジー、それ、前世がピカチュウの人だよ。 「その人、私も好きです。」 今度は腕を組んでいたのを解かれ、ぱふぱふ。 極楽だ。 あまりの気持ち良さと、アンジーとの話が盛り上がって飲み食いしてそのまま記憶が曖昧に・・・。
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