藤木浩二の独り言

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親父に勘当された僕の性癖。 元彼女にフラれた僕の性癖。 そんなにダメかな。 ダメかもしれない。 男性用ブラジャーが流行ってると知ったのは数年前。 なんかムラムラしてつい出来心で購入して着用したら、病みつきになってしまった。 別に男の人が好きなわけじゃないし、女装の趣味もない。 ただ、可愛いブラジャーを着用すると安心感を感じるし、脳内からアドレナリンがドバドバと放出されてるような気がして、仕事も順調だった。 結婚を匂わせてくる当時の彼女のことも、大事に思っていたし、いい機会だからとカミングアウトしてみたら絶句されたんだった。 「ちょっと・・・考える時間が欲しい。」 僕としては、結婚を考えてるくらいだし隠してはおけないと思って正直に話して受け入れて欲しかったけれども、その後の彼女の答えは拒絶だった。 受け入れられない、だろうか。 そこまでだろうか。 人とは違うのかもしれない。 人と違うことは悪いことだろうか。 山岸さんと新藤君に連れられて行った合コンに期待をしていたのか。 正直、そこまでガツガツと彼女が欲しいと思ったわけじゃない。 ただ、仕事関係以外の人との交流の機会がないからちょっとだけ本当にちょっとだけ期待した。 男同士で飲むよりも楽しいのかなと。 ベスは強烈だった。 鮮やかに強烈な印象を僕の中に残した。 ワキガのカミングアウトに消臭剤を持ち歩く様子。 そして、ワキ汗タオルの臭いを嗅がせる酔っ払い具合。 僕の周りにはいなかったタイプで、コンプレックスを笑いにすり替える潔さと圧倒的なエネルギーに惹かれたのかもしれない。 いや、ベスがワキガじゃなかったとしても。 名古屋駅前の横断歩道で全力疾走して笑う彼女の顔を見たらそれだけで引きこまれたのかもしれない。 彼女は、とにかく強烈な人間だ。
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