第1章

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「シンデレラ、早く綺麗にしなさい」 そう継母に言われてきたのが昨日の事。 今日は違う。 継姉達も本当の姉妹の様に私と接してくれる。 魔法使いのお婆さん、また出番を間違えたのね。 継母達が舞踏会に行く前に出て来て、継母達に魔法をかけちゃったのね。 「シンデレラ、早く舞踏会の用意をしてちょうだい。」 ほら、継母が刺のない優しい言葉をかけてくれる。 「やだ、シンデレラったらそんなドレスで行くつもり? 私のドレスを貸してあげるわよ。」 「あら、姉さんより私の方がサイズが合うわ。 シンデレラ、私の部屋においでなさい。」 昨日まで家畜の様に私を使っていたくせに、急に継姉も二番目の継姉も優しくなるからどうしたら良いか分からなくなる。 「シンデレラ、あなたは綺麗なんだからオシャレはきちんとしなさい。」 「そうよ。王子様に見初めて頂かなくちゃなんですからね。」 意地悪な継姉がアクセサリーを持って二番目の継姉の部屋にやってきた。 継姉が取り出したのは、私から奪い取った母の形見のネックレス。 「お母様との思い出のネックレスでしょ? ちょうどドレスの色に合うわ。」 止めて!そんなに優しい言葉をかけないで! 舞踏会に連れていってもらえない可哀想なシンデレラにしておいて。 「ほら、手入れしてないからアカギレが出来ているじゃない。 母さん!クリーム!アカギレ治すの持ってきて!」 「あら、嫌だ。 何でこんなになるまで放っておいたの? クリームだけじゃ間に合わないわ。 確か、色付きの手袋があったわよね? バンドエイドを貼ってから……」 継母達のあまりの優しさにホロリと涙が出た。 母親が生きていた頃は、毎日が当たり前の様に母の愛をこの身に受けていた。 でも、継母達が来てからは毎日奴隷の様に使われて、それこそ「灰被り姫」の名前通り薄汚れて哀れな娘になっていたのよ。 それなのに……話が違うじゃない!
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