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「え…今、何て…」
智子は制服姿の節子に訊き返した。
「だけん、ヨシアと付き合う事になったとよ」
節子は満面の笑みを浮かべて、智子に抱き付いた。
「良かったやん」
智子も自分の事の様に喜んだ。
「うん。ありがとう」
「ちょっとお…。私と付き合うとじゃ無かっちゃけん。押し倒さんといてよ」
節子は智子にそう言われて、はしゃぐのを止め、智子の額に自分の額を付けた。
「あ、キスもせんといてよ」
智子は冗談っぽくそう言うと、微笑んで節子を抱きしめた。
「ばってん…良かったね」
節子の耳の横で呟く様に言う。
節子は強く頷いた。
「これも智子のおかげたい」
節子は智子の身体を揺らしながらそう言った。
「私は何もしとらん…。節子の粘り勝ちたいね…」
智子は節子の髪を優しく撫でた。
「何年かかったとかいな…」
「小学校の三年生からやけん…」
指を折って数え始める。
そんな節子を智子は強く抱きしめた。
「良か良か…。あんたが数えるとはこれから先の時間たい…。済んだ事はもう良かったい…」
節子はその言葉に頷いた。
「うん…」
あの日の事を二人は鮮明に覚えていた。
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