第五章 真実

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「何ば思い出したとね…」 智子は節子の顔を見た。 「多分、智子と同じ事…」 節子はドレッサーにブラシを置いた。 「やらしか事たいね…」 智子はそう言うと節子の胸を触った。 「もう…。やらしかとは智子たい」 二人は女子高生の様にはしゃいでいた。 智子は自分のベッドへ、節子はその下に敷かれた布団に入った。 「こん部屋で良かったとね…」 智子はベッドの下に寝る節子を見て言った。 「何が…」 節子は目を丸くして言う。 「ほら…。ヨシア。隣に泊っとるとに…」 智子がニヤニヤと笑う。 「馬鹿…」 節子は布団を引き上げて、赤くなった顔を隠した。 「久々に女ば感じて来たっちゃろ…」 智子は寝返りを打ち、天井を見上げて言った。 「うん。高校生の時以来…。何年ぶりやろか…」 「ヨシアとの話じゃなか…」 その智子の言葉に、節子はクスクスと笑い出した。 「何ば笑っとるとね…」 智子は再びベッドから身を乗り出した。 「だって…。私、ヨシアしか知らんとよ…」 そう言う節子を目を丸くして智子は見た。 「嘘やろ…」 「ホント」 節子は見慣れた智子の部屋の天井を見たまま言った。 「神谷さんとはホントに一回も…」 「うん…。そげな約束で結婚したとよ…。一緒に住み出した日から寝室も別やったし、一回も同じ部屋で寝た事も無か…」 智子は節子のその話に切なくなり、目頭が熱くなった。 そして鼻の奥に涙が流れ込むのが分かった。 「節子…」 節子は微笑んで智子を見た。
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