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「ヨシア、風呂行こうか」
光生は勢いよく義秋の部屋の戸を開けた。
そしてその場に立ち尽くした。
「なっ…」
義秋と節子が抱き合って眠っていたのだった。
その光景を見て光生は声を失った。
その後ろから智子が入って来て、光生の頭を後ろから思い切り叩いて、部屋の外に引っ張り出した。
「どうなってんの…」
光生は驚きを隠せない顔で、智子に聞いた。
「はいはい。野暮な事は訊かんと…。アンタの想像通りたいね」
そう言うと光生の腕を引っ張って智子は歩き出した。
「何なら風呂は私が一緒に入っちゃるけん。黙っときや」
「いや…しかし…」
光生は智子と義秋の部屋を交互に見ながら引っ張られて行く。
「アンタもうるさか男たいね。そげんこつやけん、嫁にも逃げられるったい」
智子の毒舌は、朝から旅館の中で炸裂していた。
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