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「いや、そうじゃなくてーー」
「つまり私からペットを奪おうって訳ね。言っておくけど、私今すこぶる機嫌が悪いの。手加減できないわよ」
「いや、何でここでシリアスバトルに突入してるの!?おい、リューネ!!とにかくこの拘束を解けって!!」
アレンの必死の叫びは届かない。
次の瞬間、二つの魔力の渦がぶつかった。
「は?」
爆風に煽られたベッドが宙に舞う。
それは綺麗な弧を描き、アレンの顔が下に向いたところで落下を始める。
「ちょ、おい、待て。あああああ!!」
叫び虚しくビターンという壮絶な音を響かせた顔面ダイブ。
「「あ」」
我に返った二人の声が仲良く重なる。
結果から言うとアレンの顔面ダイブが二人の喧嘩を止めるキッカケとなった。
このままではアレンを交えた三つ巴の不毛な争いが始まってしまいそうだったので、それぞれが怒りの矛先を胸の内に納める事で手打ちとした次第である。
とにもかくにも誤解を解いたところでダークエルフが貧血を起こしてまた倒れてしまったので、ベッドに彼女を寝かせてアレンとリューネは隣の部屋に移動していた。
どこか本格的な匂いを漂わせるアンティーク風の机や椅子に茶器。
そこには材料こそ不明なれど美味しそうな菓子までも置いてあった。
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