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「…それじゃ、失礼しました。
あの、ありがとうございました。」
「ああ、いいんですよ。いつでも見張ってますから。」
あはは、と破顔して笑う飯島先生。
お礼を言ったのは、その事だけじゃないんだけどな、と思いながらも、私はお辞儀をして保健室を出た。
*
その後、佐々木君たちがもう教室から飛び出すこともなく、1時間目の英語の授業を無事に終えた。
そして今、午前中の授業を全て終えた私は、職員室でお弁当を広げている。
……と。
「はわわわわわっ!」
アニメの中でしか聞かないような台詞と同時に、私の机に隣から何かがなだれ込んできた。
「すみません春名先生っ!そのファイル、拾ってもらえますか?」
ご飯を口の中でもぐもぐしながら隣を見上げると、古文の田口先生が、自分の机で崩れかけている書類の山を両手で抑えているところだった。
毛先を内側にカールさせたいかにも女の子らしいボブヘアに、ピンクのフリフリがついたカットソー。
田口先生は私と同期で、お隣のH組の担任だ。
「……はい。」
その山の頂点に、今しがた私の机に飛び込んできたクリアファイルをそっと置く。
「…田口先生。いい加減教師がこういうの使うの、やめた方がいいと思うんですけど」
そのファイルの表紙で、爽やかスマイルをこちらに向ける俳優をぼんやり見ながらそう伝える。
「えーっ?意外といいんですよ?生徒との会話のきっかけになるしぃー。」
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