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両手を差し出してプリントを受け取りながら、長身を見上げ、その顔を一瞥する。
感情の読めない目が冷やかにこちらを見下ろしていた。
中藤先生、見た目は格好いいんだから、もう少し愛想よくすればいいのに。
もったいない。
そんなことを思いながら、踵を返し、ようやく自席について授業準備を始めた。
しばらくすると朝の職員会議が始まり、それが終わるころ、朝礼のチャイムが鳴る。
それぞれの教師が一斉に椅子から立ち上がり、自分の担当教室へと向かっていく。
私も出席簿と1限の授業道具を持って、2年G組へと向かう。
2年生の教室は職員室があるのと同じ2階だから、長い廊下をG組のある奥まで歩いていく。
ふと窓から校門を見下ろすと、遅刻ギリギリアウトの生徒たちが大急ぎで走っているのが見えた。
「春名先生。」
その中に自分のクラスの生徒がいないか探していると、後ろから声をかけられ、振り返る。
中藤先生が後ろから歩いてきて私の隣に並んだ。
「今日、欠席連絡は。」
「いえ、誰も入ってません。」
「そうですか。今日は来てるといいんですが。」
「…そうですね。」
「…では、また後ほど。」
「はい。お疲れ様です。」
先生が担任するD組の教室に差し掛かり、教室へ入っていく先生と別れる。
実は、中藤先生は私が担任するG組の、副担任でもある。
初めて担任を持つ、まだ経験の浅い私の補佐役として、学年主任である中藤先生がサポートとしてくれているのだ。
勿論それが、公の理由なのだけど…。
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