26人が本棚に入れています
本棚に追加
「ふぅ……」
いつもこの瞬間は緊張する。
G組の扉の前に立ち、胸に手を当て深く深呼吸する。
よし。
ガラッ
扉をあけた瞬間
バシンッ!!
私が開いた扉に向かってバスケットボールが飛んできて大きな音を立てた。
条件反射で瞑った目を、恐る恐る開いた。
バウンドして戻っていったボールを誰かが拾う。
「ちょっと、教室でボール使うの、やめてよ!」
「あ?そんな校則、どこにあんだよ。」
「優等生ぶっちゃって。かわいくねー!ひゃははっ」
飛び込んできたのは、黒板前の教壇付近でバスケットボールを投げ合う男子生徒二人と、その前に仁王立ちで立ちはだかる女子生徒。
「羽島君、五十嵐君、川島さん。席につきなさい。」
「先生!この人達、ちゃんと注意してくださいよ!」
「あ?だからお前は何様なんだよ?」
「ウザーー」
私の注意が逆効果をもたらし、ますます口論がヒートアップする彼ら。
「大体、こんなとこでボール使ってたら危ないでしょ!さっきだって先生にぶつかりそうだったじゃない!」
「はぁ?こんなボール当たったところで大したことねえよ。」
「てか教室の使い方はお前が決めてんの?クラスメート一人ひとりに自由に使う権利があるんじゃねーの?」
「ちょっと、いい加減にしなさ」
「先生!もうこれ、何度目ですか?放っておいたらまたやりますよ?」
「だから、てめーに言われる筋合いはないっつってんだよ!!」
ガツンッ!!
最初のコメントを投稿しよう!