第3章

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* 「どうしたのっ!?」 走ってはいけない廊下を早歩きで過ぎ去り、教室にたどり着くなりドアの近くにいた生徒に尋ねる。 「先生っ」 振り返った生徒が私の姿に安堵を覚えると同時に、私は教室後方に視線を走らす。 無操作に退けられた机や椅子に、ガツンガツンと当たりながら、取っ組み合いの喧嘩をしているのは、やっぱり佐々木君と……… あれは、他クラスの男子? 黒い短髪のその男子は、咄嗟には名前が出てこない。 「何があったの?」 もう一度そばにいた女子生徒に聞くと、 「…休み時間になったら、急に柏原君が教室に入ってきて」 「いきなり佐々木君に掴みかかったのっ!そっからあんな取っ組み合いに…」 その隣にいた生徒が、続きを引き継いで私に伝えた。 つまり、仕掛けてきたのは向こう…。 それに思い出した、あの男子。 C組の柏原真也(かしわばら しんや)。
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