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佐々木君に聞いた筈なのに、飯島先生が答える。
…まぁそもそも、佐々木君が答えようとする気配はなかったけれど。
「そうですか…。
後から何か言われないといいですけど。」
「そうですね、少し気をつけておいた方がいいかも。………はい、できた。」
先生が仕上げにガーゼをテープで止めると、パッと手を離した。
ガタっと椅子の音を鳴らして佐々木君が立ち上がる。
「今日はもう大人しく教室戻りなさいよー。私に見つかったのが運の尽きよ。また出てこうとしたら、私が見張ってるからね。」
「……ったよ、うっせーな!」
「はいはい、元気がよろしいことで。
ほらっ、授業頑張って!」
生意気に口答えする五十嵐君の背中を軽く押し出すように叩き、彼らを保健室の外へ導く飯島先生。
……手馴れてる。
私は三人が出ていったドアを暫く呆然と見つめていた。
「……先生、どうしてあんなに生徒とうまくやれるんですか?」
「え、そう?うまくやれてるかしら?」
「はい…。なんだか私よりも懐いてるみたい。」
言ってみてから、なんだかヤキモチを焼いている彼女みたいだと思った。
「あははっ。
まあ、人それぞれキャラってものがあるからね~。
春名先生は可愛い系だから、私みたいなキャラは合わないしね。」
「……いえ、そういう話じゃなくて。」
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