16歳のダイアリー

10/184

19人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
といいながら、 わたしは間違いなくぼーっとしていた。 うそでもかわいいなんて言わないでよ。 本心じゃないくせに。 胸に何かがつっかえるじゃないの。 タクミさんはわたしみたいな平凡な女とは絶対付き合わないだろうし。 世間が言う似合いの女には絶対ならないし。 アイドル系、 ハンドのエースは、 地味な下級生とは恋に落ちないのだ。 そういう小説もアニメもない。 選ばれるのはたいがいピカピカのマネージャーとか、 ちょっと神秘的な、 年上の、 髪の長い美人とか相場は決まっているのだ。 誰が見ても「あ、 やっぱ、 あーゆー人選ぶのね、 綺麗だもんね」って周りを納得させちゃう訳よ。 それがもし、 もし、 もしわたしだったら「なんで、 なんであんな平凡な子なの」って剃刀飛んで来るもんね。 わたしははっきり言って、 そんなに目立つ女子高生ではない。 背も、 高からず低からず。 スタイルも自信ない。 切れ長の大人っぽい目でもなければ、 ぱっちりとした二重瞼でもない。 髪の毛は長いけれど、 ただ後ろで結んでいるだけで、 取り柄がない。 ちょっとお洒落ぐらいすればいいんだよね。 でも、 カオリとか優子みたいに分からない程度、 ちょっとお化粧するなんて技は、 わたしには苦手。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加