16歳のダイアリー

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 あの日の晩、 約束通り、 角谷さんは単車を返しにやって来た。 「時間あるなら、 ちょっと聞きたいことあって。 寄って行かない?」。 俺は玄関で、 キイを受け取ってから、 俺の部屋につながっている階段を指差して言った。 俺たちは狭い畳の部屋で、 あぐらをかいたところで、 「分かるよ、 話って」 と、 角谷さんは笑いかけた。 「つまり。 彼女のことだろ」 「当たりっす」 「本音をなんも言わなくても、 拓実くん、 みんな、 言葉の端々に出ちゃってるよ。 コイツ、 気に入ってるんだって。 今日、 楽しそうにしゃべってたもんな、 彼女と」 「そうすか」 照れ隠しに変な言葉で返す。
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