16歳のダイアリー

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その立ち振る舞いが妙に色っぽかったのは、 暗い公園をうっすら照らす、 変に青っぽい街灯のせいなのか。 「彼女、 いるでしょ」 「え?あ、 まあ」 「いるわよね。 ふふ。 なんか、 いそう」 「彼女の家が、 この小向公園の近くらしくて。 それでちょっとここまで来たんだけれど。 ていっても、 ソイツの方は俺には興味ないみたいで」 「あら、 そうなの」 「まあ、 そんなもんで」 「きっとうまくいくわよ。 そのうち」 お母さんは何の根拠もないままそう言って、 子どもの背中を静かにたたいて、 寝るのを待っているようだった。 「あなた、 優しそうだもの。 その子から思われないわけ、 ないわよ。 だいたい、 こんな遅い時間に、 意中の人が小向に住んでるからって、 バイク飛ばしてくるなんて。 なあに。 一途じゃない。 青春しちゃってるわね。 ちょっぴりうらやましい。 若いわ、 その子のこともうらやましい。 かわいい子なんでしょ」 「あいや、 一途かどうか分かんないっすけど…」 「一途って言うのよ。 そういうの」 と言って笑った。
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