16歳のダイアリー

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俺は3年の真野さんが、 わざわざ言ってくる話っていったら、 もう想像がついていた。 俺たち男子ハンド部は、 進級したとたん、 3年がごそっと辞めてしまったちょっとした事件があった。 当時の部長だった宮成さんが、 預かって来た部費をロッカーに入れたはずなのに、 なくなったということから発展して、 その日部室に出入りした人間が疑われた。 俺たちの学年は誰も部室の鍵を持っていないから、 疑われることはなかったが、 1番目を付けられたのは、 ちょっと浮いた存在の西先輩だった。 でも、 ロッカーに本当に入れたのか、 そこも誰かが見ていた訳じゃないから、 真相はうっかりどこかで落としてしまったのかもしれない。 なのに、 絶対絶対そんなことはないと、 宮成さんは言い張った。 他の3年は、 部長が簡単に、 人を疑うっていうそういう考え方についていけない、 と言い出して、 それで一斉に辞めることになり、 それに癇癪を起した、 宮成さんも辞めてしまったのだ。
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