16歳のダイアリー

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 そんな彼の感想が気になり、 どんな人なのか、 思いを膨らませていた。 ある時わたしは夕方まで学校に残って彼を探してみようと思った。 わたしの席に座る、 その人が、 角谷さんかな?窓の外から、 声をかけてみることにした。 ちょっと、 いや、 結構勇気がいる。 「あのお、 あすこの席に座るの、 角谷さんですか?」 「いや、 席は決まってないから…。 角谷くんなら、 さっき昇降口にいたけれど」 「そうですか、 どうも」 わたしは昇降口に回った。 そして発見、 多分あの人。 ここまで来たら行くっきゃない。 「あの、 角谷さんは…?」 3人が振り向いた。 「俺だけれど」 と、 低い声で言った人がいた。 背が高くて、 がっちりした体つきだった。 髪の毛はちょっと長めでおとなしそうな印象を受けた。 そして…大人だった。 さすがに働いているっていう感じがした。 こんな大人の人が、 1年生の書いたひとり言っぽい、 学校生活を題材にした文章を、 丁寧に読んでくれたなんて。 ちょっと信じられない気がした。 学校生活より社会人生活の方が中心であろうこの人が…。 今日の一瞬の出会いで、 わたしからの距離は百メートルが千メートルに離れた。
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