16歳のダイアリー

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「一人で全部やっているんでしょ。 高校時代はささって通り過ぎちゃうから、 なんだっていいよ、 コレだけはやったなって言えるもの、 燃焼したって言えるもの、 作っておくといいよ。 全日制は時間あるんだし。 ぼーっとしてたらもったいない。 あとであの頃、 何やったかなって思っちゃうからさ。 ずっと続けたらいいよ。 俺もまた、 読むよ」 彼は、 それだけ言って、 人の反応を全く顧みず行ってしまった。 恋とか、 好きとか、 そんなんじゃない。 その人のこと、 イイナと思ったとか、 そんな安っぽいものでもない。 それを通り越して、 じわっと熱いものが浸透するような感覚がわたしの体全体に広がった。 その人がどんな人なのか知らないだけに、 接点は何もないと十分分かっていた。 追いかけるつもりもなく、 働きかけるつもりもない。 ただ、 そういう人と、 出会いがあっただけで満足したし、 「また読む」と言ってくれただけで励みになった。 その人は、 遠くにいてくれる。 それでいい。 遠くでもいい。 遠くがいい。 それがいいのだ。 それが今のわたしの気になる人…。  
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