16歳のダイアリー

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せいせい…か。 ここでの暮らし、 未練ないんですね。 それとも強がりですか? 「おいで。 来週か、 その次。 拓実くんには電話しておくから。 時間空けておいて」  今思うと、 キイホルダーのことなんか、 どうでもよかったんじゃないかと。 これは、 わたしに電話するためだったんじゃないかと。 別にうぬぼれる訳ではない。 うまく言えないけれど角谷さんは、 わたしが、 角谷さんのこと、 イイと思っているのを、 すでに知っていて、 それでお別れを言うために、 好意で電話をくれた様な気がする。 角谷さんには、 そういう、 人を包み込むような大人の優しさがあるんだ。 せっかく、 せっかく少しだけ親しくなれたのに。 プツンと切れた糸みたい。 中途半端な終わり。 まだ、 なにも始まっていないのに。 お別れに何かしてあげたいと思ったけれど、 それで自分の気持ちが吹っ切れるわけでもなし。 家庭の事情って言葉、 何回かタクミさんからも聞かされたけれど、 どうしたんだろう。 それも気になる。 お寿司の件だって、 この間みたいにラッキーって気分じゃ行けないし。 どんな顔して、 お別れを言うのか、 あー、 頭の中で色々な疑問と課題が、 ぐるぐる回っている感じ。
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