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「昨日、
角谷さんから」
と、
言いかけると
「ああ、
こっちにも電話あったよ。
山梨、
行っちゃうんだってね」
と、
タクミさんが言った。
その顔が、
とても寂しそうに見えた。
不服そうで、
悔しそうでもあった。
彼は、
角谷さんの引越しの訳を、
納得はできないながらも、
承知していたようだった。
そんなタクミさんの顔を見たら、
思わず目に涙があふれてしまった。
泣くつもりなんかなかったし、
さびしい気持を慰めてもらおうという気もなかったはず。
ただ、
電話で色々話したことを言っておこうと思っただけなのに。
どうして…。
「なんだよ、
泣くなよ」
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